<コミュニケーション>
あなたは、どうやって友達を作りましたか? とたずねられるとまず、出会いがあってお互いのことを知り、気が合うし、一緒にいて楽しいので・・・と答えると思います。
相手を知る最大の手段は、態度、雰囲気、表情でなく、言葉なので、それを介して互いが持っている色々な情報をやり取りしているはずです。
支援においてまずは、当事者を知ることが大切であると「知ること・知らないこと」で説明しました。
しかし当事者の思いや考えを周囲の人が理解・受け止めが不十分であるケースが多いのです。知りたくないはずはないと思いますが、周囲から見ると目の前の問題に目が行きやすくなり、よくないことを注意する。適切な行動を説明して、それに従うように話をするパターンを取りやすいのが、その理由です。「今の時代に生きる」で説明しましたが、当たり前の対応であるように問題をいかに減じるか、なくすか、その手段を強く求めれば求めるほど、当事者の気持ちや経緯は軽視されやすく、一方的な働きかけになりやすいものです。
それを受ける当事者にとっては、いい気持ちはしません。自分は否定的に見られていると感じやすくもなります。また相手が求める評価に自分が当てはまらない事が多いと思えば、話しネタも少なくなります。結果、一日に起こった出来事をごく当たり前に話すことに抵抗を感じる状態に置かれます。
生活をしていて誰でも何かしらの問題に直面します。自己解決出来ることもありますし、人に助けを求めることもあります。
当事者の手に余るような問題に直面した時に発信も出来ず、周囲も気付かず、また気付くことに遅れた場合、かなり深刻な状態に至っていたことは、そう珍しことではありません。
不適応状態にある人の問題の根源は、意識(思考・感情)にあり、可視化が難しい領域なのです。表情や態度、行動である程度のことは、分かるにしても、やはり、当事者の口から言葉として聞くことには、かないません。進路のこと、就職のこと、これからのこと、悩んでいること、これら当事者にとって必要な事を決め、解決するには当事者が主体的に参加しないといけないわけですが、日頃から円滑なコミュニケーションが取られていない状態で重要な話しをしようとしても当事者から避けられて、事態が硬直してしまいます。先ほど、問題の根源は、意識(思考・感情)にあると言いました。適切な行動が増えた、不適応な行動が減ったなどの好展開であっても、当事者が自分の意識を表現していくことで自分の置かれている事態がどの程度、把握されているか、されていないか、行動変化と意識が一致しているかどうかの検証していく際にとても重要になります。
それは、意識を把握せず、行動に焦点をあてると適切な行動が、実は過剰適応であったことが分かり、不適応行動が出現したら以前にも増して状態が悪化することがあるので注意が必要なのです。
コミュニケーションは、まさに支援において根幹です。