子どもの問題の捉え方と支援について

1.素因と環境

現象 素因 環境
(問題) (発達・性格など) (家庭・学校など)
素因
発達や能力に関係したこと
社会性 場が読めない、他者感情理解が難しい
行動、情緒 行動規範の崩れ、落ち着きがない、こだわり、感情のコントロールがつきにくいなど
学習 課題習得するためのスキルが充分でないなど
言葉 上手く言葉を組み立てられない、一方的発言が多い、会話のミスマッチなど
運動 運動能力の遅れなど
性格・精神安定など
几帳面 潔癖的、完璧的とその行動
真面目 融通が利かないことによる苦痛や周囲との摩擦
繊細 感受性が強すぎ、予測不安が強い
やさしい 相手に合わせすぎる
素直、従順 NOが言えない、自分の意見が言えないことによるストレス増
自我成熟 反抗期がない、自分の考えを言えない
環境
家庭
教育環境 落ち着きにくい環境、分からないところの叱責過多、過剰的学習など
自己決定 子どもの意思の確認はあまりされず、親の意思で決まることが多いなど
効率優先 早くできるか・ムダがないか・損か得かなどの価値基準で子どもをみてしまい、結果として指示・注意が多くなるなど、肯定的評価の少なさ
子どもへの理解 起こっている問題の解決に重点が置かれ、原因や心情についての理解が進んでいない
家庭の緊張 母親の不安や緊張、夫婦の不仲、兄弟比較など
虐待 キレやすい、注目要求的行動、攻撃的、大人を振り回す、不自然な怪我
※ADHDと類似的行動を取りやすい
集団生活(学校)
通常 + (通級併用、アシスタント、周囲の理解と援助)
支援学級
居場所 周りは自分のことをよく思っていないのでは、どう思われるか、何か嫌なことをされないか不安な気持ちを抱き、かなり気を使って居心地がよくない状態になっている
対人関係 適切な関係の持続ができないので辛い状態が続いている
学習 自分なりに努力しても成果があがらない状態で疎外感や不安感を抱いている

2.問題のバリエーションで傾向をみる
 

発達障害系 前項@発達や能力に関係したこと、就学前から存在していること
情緒環境系 前項A性格・精神安定や不適応な環境等で、不安、攻撃、不適応を主とした症状で登校拒否、睡眠障害、自我成熟、暴力、神経症など
混合系 前項のA・Bが入り混じった問題を呈している



3.スキルの繋がり(問題の連鎖)

小4のA君はクラスの決まりを度々守らないために友達に注意されます。自分にも言い分がありますが適切に言い難い面があり、カッとして手を挙げてトラブルになることが多いです。休憩時間は友達と居ることがほとんどですが、外遊びではボールの扱いが苦手なので遊びについていきにくく大声を出したり、ちょっかいを出したりしています。家では苦手な宿題はやらず、お母さんによく叱られています。
各スキルにおける問題
社会性 自分がしていることは自分や友達にとってどうなのか?
言語 適切に言い難い
運動 ボールの扱いが苦手
学習 苦手な宿題はやらず
行動・情緒 カッとして手を挙げてトラブルになることが多い、大声を出したり、ちょっかいを出したり、クラスの決まりを度々守らない
スキルの連鎖
言語
社会性

運動 行動・情緒 学習
トラブルが多い


4.問題の焦点の当て方
 

A君を例に・・・
局所的見方(現象)
   トラブルが多い(目につき、すぐに解決したい)  手立ては?・・・
包括的見方
素因 社会性、行動・情緒、運動、言語の各領域に問題
環境 宿題の件以外にも叱責多い
時間 母より・・・3歳前から落ち着きがなく、保育園入所してから問題行動が顕著になった。多動は少なくなったが、衝動的行動は変わってない、むしろ悪くなった。
影響 各スキルの問題によりストレスを溜めこみ、もともとある行動の問題を悪化させている
未来予測 友達とのトラブルを起こせば起こすほど立場は悪くなり、孤立化が進み、疎外感も加わり精神的不安定化を招き、集団生活の持続が困難になることが懸念される
原因 スキルの低下  適切な行動および結果が出しにくい  否定評価が多い  ストレス増


5.問題の軸

治る、治らない
障害、非障害
適応、不適応


6.アプローチ

子どもの状態とその背景理解
データが多いとアセスメントがスムーズ
現象問題と根本問題の二本立て
問題には必ず原因があり、それをなんとかしないといけない。でもとりあえず出ている問題の対処も必要
改善しやすい所から取り組む(問題の連鎖)
何かが改善すると、いい意味での他への連鎖反応が起こる
改善することで関わる方も子どももモチベーションが上がる
モチベーション(自己の理解)
改善しやすい所から取り組む(
自分の置かれている状態が客観的に把握されてくると目的意識が明確になりスキルアップへの取り組みに積極的になる
「願い」から「妥当性のある支援」に
子どもの状態とその背景理解()が充分であると妥当な支援に無理なくシフトしていく
思考の柔軟性
できない・遅い・失敗を、一ととるか十ととるか
自己目標を達成した時の充実感
工夫、努力、適応
常に何かしらの道を探そう、必ずあると信じて!
困ったときに子どもがどう判断し行動するかで見えてくるもの