6.支援

@不登校の現実を周囲が受け止めること

不登校の現実は、本人も家族も辛いものです。学校に行っていないこと、好きなことをして時間をすごしていること、睡眠のリズムの乱れなど良い現実とはいえない現実が目の前にあります。しかし好んでこうしているわけでなく、原因の項で述べたように心は疲弊し、絶望や無力感に苛まれています。すぐにこの現実を変える意識でなく、思いを知ろうとすることで、これは愛情です。
本人は口には出しませんが、これを求めています。今後どうするの前に事態を引き受ける気持ちが大切です。引き受けないと現状の否定から始まることになりますし、それが本人にとって否定されているという心理的負荷を加えることになってしまい、考えや気持ちのやり取りが困難になってきます。
こういう事態に周囲が焦りと苛立ちを持ち再登校の方法に意識が向いて登校方法の検討、説得、我慢を強いることになって関係悪化に拍車をかけるようになります。もともと短期間で積極的な働きかけで事態改善できる性質の状態ではないのです。

A自立(自律)を意識すること

学校へ行けるようになることは、大切なことであるのですが、生きるを視点に見ると、自立(自律)の方が大切です。
生きるとは、目の前に起こる事態に向き合い、主体的に処理して手に負えないことであるなら人に助けを求め、また人にも協力する意識とその実行が欠かせないのです。不登校にいたった多くのケースは自己防衛にエネルギーを使い、事態を解決でなく放置や傍観してやり過ごそうとしたり、しんどいことは、考えないようになど逃避することが見受けられます。
さらに心をクローズドする傾向もあります。
 今後、何をどうしてよいか分からず、この現実から脱却したい意思を持っていても疑問や助けを求めないことが多いのです。
これは、精神的な脆弱状態から脱却できないことを意味し、学校を終えた後の自立的生活の妨げになります。

B自分の内に意識が向くこと

長所、短所は誰にもあります。短所の部分で、生活への影響度がさほどでもなければいいのかもしれません。しかし集団に適応できないほどの影響であればこと深刻です。人生の一時期で限定された場所で出現、それを通過すれば、何もないで済む性質のものか?そうではなく、のち短所(例:思い、考え癖など)は、深く洞察すれば広く、深く影響が出ていることに気付くのです。それが分かれば分かるほど切迫感と変化することへのモチベーションが高まり、行動に反映されてきます。この一連の意識も自立心の一つなのです。

C必要なことへの意識と行動

不登校になっていきなり、必要なことをする意識は出てきません。今まで述べてきた@〜Bのことがある程度満たされることが条件です。ですから周囲の人が辛抱強く待ってたり、行動を起こすように説得したり、注意しても効果的でなく、むしろ自分のことを分かってくれないと思われ、心を閉ざしていきかねません。
自分にとって必要なことを意識する促しはしても差し支えはありませんが、あくまでも主体的に事態や自分を見つめることへの補助的役割と意識した方が良いです。

D生活の建て直し

早く起きる。勉強する。体を動かす。ゲームはそこそこに・・・などは当たり前なことですが、行動を起こすモチベーションが低ければ、長続きしません。自分のことだから真剣に考えるべきですが、依存的で自立心が育っていないと、頭でわかっても、実感がないとか、他人事のような感覚です。行動を起こし結果を出すことは大切です。これが出にくいから出る方法を考えるではなく、なぜでないか?を意識すること。答えは@〜Cにあります。次に行動を起こせたが十分でないとか、持続が・・・でも少なくても起こした事実はあるので諦めないと、それはやがて良い習慣として自分のものになるのです。

※再登校する方法は登校できる条件が整えばいけるようになるので、その条件を知ることが支援方法にもなるわけです。