<共感>
社会性に問題がある、人と上手く関われない、どう話して言いかわからないなど、訴えの多い問題です。
人との関係をとるために社会性の項で「互いの自己要求をフィフティー、フィフティーに満たすことで、そのために必要なことは、対等なコミュニケーション、心情理解や予測、共感、協力、自制、状況判断力などを使うことです。」と説明しました。その中でも大切なことは、共感力なのです。
共感性は、理屈でなく、教えられることでなく、兼ね備えているものですが、発達障害、人格障害の一部に共感性が低い例があります。その原因は脳神経の働きか、環境か、心因的原因によるものなのかは、主原因だけでなくそれぞれの相互作用により状態化しているものと考えられます。判断したこと、行動したことの動機を聞いてみると、人の立場に立って考える、心情を理解しようとする意識がないか、少ないことに気付きます。
このような共感が働きにくい状況でも説明すれば、相手の立場や状況を考え、どう考えるか思うかは、ある程度は理解できますし、言動に関しても応用は利きにくい面はありますが、適切な実行は可能です。
また、もともと共感性は、低くはないけど、結果的に、判断する際に人の立場や心情を理解することへの意識が働きにくいケースもあります。それは、不安の強さによる不登校や環境適応などに問題を抱えるケースです。どうして共感意識がはたらきにくいのか? それは、不安が強いと自己防衛を強めてしまい。猜疑心が過剰に働いて適正な心情理解に至らず、心理的距離感も縮まらなくなり、共感的理解をもって接する事が難しくなってきます。
このような心的苦痛に対する共感理解を得にくい場合は、好きなこと、自分にとって必要なことに行動を起こすことで不安値が下がり、事態や人に対しても冷静に見やすくなって、共感理解しやすい状態に変化してきます。
関わる方は、問題を抱える当事者の状態を認め、受け入れるとそれに連動して共感が起こり、それで当事者が癒される(安定)ことを知ることです。
人は誰しもしんどい状況にあると判断に誤作動を伴いやすいものです。それを抑止する共感することの効果は、大きいのです。