<重症化するに至った原因>
ここで取りあげる重症化とは、病態の悪化ではなく、適応の観点から見ての重症化です。たとえば、適応の問題としては、不登校、引きこもり、ニート、家庭内暴力、非行などの事態で、その一次的原因は、気質、精神疾患(発達障害を含む)、環境があります。これに対して二次的に不適切性が加わっていると、精神状態の不安定さや感情のもつれが起こり、複雑化、重症化していくことです。
では不適切性とは何かを相談場面で多く見られる例として以下に示してあります。
・問題解決に向けての、短絡的対処方法(例:不登校なので登校をするように説得を行う)をする。
・問題行動に対して社会通念や常識を求め、強要するような言い方をする。
・ミスマッチ(要求したことが現実にマッチせず、達成できないことへのストレス)
・問題の原因や影響に対しての関心が少ない(全体状況がよく見えていない)。
・問題が出ないように過剰援助しているが、過剰との認識が少ない。
・共依存がある。
・逃避的(事態に向き合わない。逃避することでその影響へ意識が向かない)
・共感性の弱さと逸脱行為(非行もしくは反社会的行為など)とそれに伴う周囲との軋轢によるストレス。
・問題の黙認による誤学習(不適切な行為をしているのに注意せず)。
・こどもの要求が妥当でなくてもこどもの要求を満たす。
・コミュニケーションが取りにくい状態が続いている(本心を表現することの抵抗、表現量の少なさ、言葉をかけづらい、話がかみ合わない、人の話が聴けないなど)。
・自己のおかれている状況への問題意識が希薄。
・トラウマがあり、なかなか弱まらない。
・自己解決が難しくても助けを求めない。
※これらのことが継続されていると、重症化から抜け出すことが困難な状態になります。
では、どうするか? 適応の問題に注視するだけでなく、これら不適切性が持続されていることで重症化が起きていることを知ること、つまり事態の成り立ちが分かれば、それに応じた支援につながり、重症化を抑止することになります。