<表現すること>

 

コミュニケーションの項で表現することで意図や意識が分かると説明しました。
さらにその効力は他にもいくつかあります。
その一つにストレスの軽減があります。しゃべる内容にもよりますが、しゃべることですっきりしたりする経験は誰においてもあるはずです。逆に言いたくても言わない、言えないとストレス値が高くなって、理性的判断に影響が出やすくなります。自分の気持ちや考えを晒すことが、過度な羞恥心や他者からの否定的評価をもたれる恐れ、表現することで不愉快に思われるのではと確信して表現を渋るケースに出会うのですが、当人はそれがストレスをためやすくしている実感が持てずにいる事がしばしばです。しかし、何らかの不適応に陥ると、心的苦痛は強く自覚されるようになるわけですが、相談(表現)することに抵抗を感じているわけで、実態もつかみづらく事態の解決や軽減が進みにくくなります。
二つ目に人と情報を共有することは関係性を深めやすくなり、孤立感の減弱が計られます。さらに人から協力が得やすい環境にもなるのです。
三つ目に人間関係において必ず、誤解が多かれ少なかれ生じます。当たり前ですが、相手に与えた様々な情報は100%ではありません。言葉のやり取りをしていて言葉や表情からその意図を汲み取ろうとしたりもします。いわゆる推理している面も多くあるわけで、事実とは違う認識も生じてくるわけです。つまり誤解してと受け取るわけです。誤解は誤解を解かないと誤解のままなので、放置すると関係性に影響が出てくりこともあります。だから話す、聞くコミュニケーションが必要になるわけです。
四つ目に人に話すことで、自分では気付きにくい自分のことに気付くこともよくあることです。人から指摘されて気付く場合もあれば、1人でいる時にはあまり意識もしてこなかったけど人から問われることで、自分に意識を向けることで気付くことなどです。あまりしゃべらないことは、よくないと説明しましたが、よくしゃべるけど、一方的であったり、感情や思考の表現に乏しかったり、偏りがある場合は、適切な表現と言えないので、注意が必要です。
与えられた生活環境にほぼ適応し、対人関係もほぼ良好な状態にある人は、年齢に関わらず、一日の出来事とそこで生じた感情や考えを過不足なく言葉で表現します。