<適応すること>

 

適応することとは、環境から求められることに、どの程度処理できるか、それには事態に対しての適切な判断と行動が必要になります。適切とは客観的に事態を捉え、妥当な判断をすることです。しかし人は、価値観や感情に左右されやすく、常に適切さを保つことはできません。また決定したことに対して「捉え方がどうだったか?」は、よほどのことがない限り、疑わないものです。
結果をどうみるか? 良ければ深く考えないし、そうでなければフィードバックすることもあります。フィードバックする過程においても客観性が求められますが、人は往々にして自己弁護したくなるもので、他者に責、不可抗力で仕方がなかったなど自己の介入したことによる影響を排したくなるものです。このような他者や不可抗力に責をおいた時点で適切な学びができにくくなります。
つまり誰もが判断力(誤認識)→行動結果(不適応)→苦痛→感情優位になり易い→不適応状態へと程度の差はあれ、こうなるリスクはあるものです。
では、発達障害、精神疾患を抱える人の場合はどうか?
そうでない人に比べて判断の偏りや歪が大きいので誤認識・行動の不適応が起こりやすいこと。さらに行動結果をフィードバックすることにおいても同様です。
当事者はこの事実を知らないし、疑うことがほとんどないことが多く、関わる方が、行動結果(不適応)に対してそれは、よくないとか、~すべき、させるように指示してもキャッチされにくいのです。決定したことを疑わない、結果をフィードバックしないことが原因であるために適切さを知ることのモチベーションが得にくく、適応行動に結びつきにくくなります。

では、どうすべきか?

まず関わる方がこれらの一連の成り立ちを理解して受けとめることです。
次に当事者と対話するときの注意点として失敗や問題を責めるのでなく、当事者がどういう状態にあるのかを理解するため、その手助けすることが目的であることを告げることです。意外に対話に応じ易くなるようです。

具体的には?

結果から他者に責、不可抗力を排する意識をもつことを促す。すぐには出来るものではありません。しかし過去の実例を挙げて考察する機会を与える回数をふやせることで、徐々に自己の判断と行動を冷静に見るようになり、それに伴い問題が明確化、つまり真実が見えるようになって後悔する意識が強まり、切実感を持ち、適応に向けてのモチベーションへと繋がっていきます。
その結果、不適切さに対しての修正しようとする意識が働き、適切な行動計画を立てて実行していくようになるのです。