<時期>

 

個人が抱える特性の影響が生活に出ていて、それを理解し受け止めて改善や軽減することへ行動を起こすことは、適切であり必要なことです。
当事者がそれに気付き開始する時期が早ければそれに越したことはありません。
しかし人によりその時期は異なります。
気付きが、遅いとよくないと見るのが通常だと思いますが、冷静に見れば遅かろうが早かろうが人の違いであって比較ではなく、それを開始する時がその人の時期なのです。
 私の臨床経験の中で教訓にしていることがあるのです。それは特性やそれに伴う影響も明らかで、それに気付いて策が明確で、あとは講じれば良い方向にいくことに確信を持ち、ゆえにそれを伝え、理解して実行をすることを勧めることがあります。理屈は正しいのですが、当事者がまだ自分の現実に向き合えない、または混乱してわからない状態にある場合、それを受け入れる時期に来ていないわけです。このような状態にあるのについ強要するような感覚を与えてしまうことがあるのです。反省するのですが、解決に向けての意識が強く作用していて見えにくくなっているのです。事態が進まない現実に気付くとまだその時期でない、辛い心境をを受け止める時期であることを知るのです。事態を変えたい、何とかしないと・・・という焦りが、ミスマッチをもたらし、木をみて森を見ずになっているのです。
 当事者自身の中に意識のステージがあるのです。
意識のステージとは、現実の捉え方やその妥当性、現実との距離感、目的意識の強弱などでのことです。このステージは一定ではなく、変化をしていきます。
だから最新のステージに応じた対応が求められるのですが、それを見い出せることが、関わる方の課題であると自問することと強く認識しています。